「現職人事部長の告発」を受けての会見で露呈した山中横浜市長の「ウソと恫喝」

人事部長久保田氏の話と市長山中氏の発言を分析し、横浜市がどのような対応をとるべきかを検討しました。
郷原信郎 2026.01.20
誰でも

1月11日、山中竹春横浜市長の不適切な振る舞いや暴言の数々を、現職人事部長の久保田淳氏が実名・顔出しで告発する記事が文春オンラインに掲載されました。

山中市長は、週刊文春の報道に対して、「2026.1.11報道に対するコメント」を公表して、指摘された内容は事実無根か、言動を受けた側に非があり、市長には批判されるべきことは全くないかのように主張しました。

そこで、12日の【人事部長が実名告発した「山中横浜市長パワハラ問題」、2021年市長選での「パワハラ音声」を再検証】と題する記事で、パワハラ批判に対して「相手方に叱責されて当然の非がある」という理屈を持ち出して一切自らの非を認めようとしない頑な山中氏の姿勢は2021年の時から変わっておらず、今回の久保田人事部長の実名告発に対する反論として出したコメントでも全く同様であること、山中氏のパワハラは、その人格の本質に根差すもので、本人が反省して改めることは期待できないことを指摘しました。

その後、15日には、神奈川県庁で久保田氏が記者会見を行い、これを受けて、16日には、山中市長が、市政担当記者との非公式会見を行いました。

ここで、人事部長の久保田氏と市長の山中氏両者の発言内容を整理して、今後、横浜市がどのような対応をとるべきかを検討したいと思います。

久保田人事部長の記者会見での発言内容

久保田氏は、山中市長の問題発言を詳しく説明するともに、現職人事部長でありながら市長の言動を告発するに至った経緯と理由を説明しました。そして、文春記事について山中氏が出したコメントにも言及しました。以下が会見での冒頭発言の概要です。

(1) (経緯)

山中市長は2 期目を迎えているが、1期目の途中からいわゆるパワーハラスメントが疑われるような行為が散見されていた。その中には、ハラスメントが疑われるだけではなく、労働基準法等に違反する疑いのある行為、市会議員や副市長の人間としての尊厳、市職員の労働者としての権利や人権を軽視した問題ある言動が見られた。

2期目を迎えて市会議員や職員との関係性も改善してくることを期待したが、むしろ悪化しており、看過できない水準に達していると考えている。そのため、公益通報という形で記者会見を含む一連の行動を起こすことにした。

今回の一連の行動はあくまでも個人としてのものではあるが、現在、市役所でハラスメント対策を所管する人事部長なので、市役所内におけるハラスメント対策にも一定の責任を負う立場にある。もちろん最終的な責任は山中市長にある。

今回の行動の目的は、横浜市長としてふさわしい人権感覚を持って、法令を遵守した、そして横浜市民や市会議員、市職員から尊敬されるような言動に改めていただくこと。市長の交代とか退陣を求めるものではない。

(2)(山中氏に対する評価と中立的調査の希望)

個人的には山中市長の知的な能力の高さ、横浜市民や子供たちに対する思いの強さ、仕事の成果に対する貪欲さ、勤勉性、清廉潔白さには畏敬の念をもっている。様々な政策分野の基本的な方向性も、1期目を経過して2期目の選挙も経たわけなので、多くの横浜市民の思いに応えていると認識をしている。

私としては、横浜市として中立性や専門性がしっかり担保された形で調査が実施され、その結果に基づいて市長の言動が適正化されるという必要な対応が進んでいくことを強く望んでいる。

私は、横浜市役所で、できれば福祉とか子供の分野で、人事系、総務系と福祉、子供の分野でやってきたので、そういうところで引き続き横浜市民に貢献させていただきたい。

(3)(市長室への出入り禁止)

通常は、課長以下は(市長室に)入れない。部長級の中でも市長室には一部しか今は入れない。基本的には入れるポジション、例えば人事部長、財政部長、報道担当部長でも、一時的もしくは永続的に市長説明のアポイントメントを取ってもらえなくなる事態がたまに発生する。市長から「出禁だ」とか言われるわけではないが、秘書部長に説明資料を入れた封筒を渡してそれでやり取りするようにとか、局長だけで説明するようにとか、何ヶ月経ってもアポイントが一切入らないことが稀ではない。それを市職員の間では「出入禁止」と言っている。

重要案件で市長にお諮りしなければいけない。でもあの部長は市長室に入れないからここには置けない、ということが各局の局長から多々寄せられ、人事異動にも支障がある。

前副市長には、重要案件であっても意図的に予定を入れさせなかった。市長の行動記録がWeb上に出ている。副市長であれば基本的に名前は出ている。前副市長は非常に少ない。

「ダチョウなんて本当にバカだから俺のアポとか取りたがって。取ってないけど」

と意図的に前副市長のアポイントは取ってないということを明確に言っている。

昨年11月14日、市長への市長室での対面での説明が認められなくなった。

秘書部長を通じて指示された書面でやり取りをせよということだったが、人事部長なので様々な案件を説明する際に、書面で行ったり来たりするのも無理。1対1でこの人はこうだとちゃんと話をしたいということで、不本位ではあったが「人事部に非があった。私が悪うございました」と書いた顛末書を、秘書部長を通じて市長に渡し、出入禁止はすぐ解除された。

市長のコメントでは私が現在も市長室での譲論に参加しており、出入りができないことは一切ないとされているが、確かに出禁はずっと続いていたわけではない。顛末書を出したことで解除されて、翌週の11月 19日から対面での説明が認められたが、それ以降、人事案件の説明も含めて私の説明には全て秘書部長が同席をすることになった。理由は不明。

(4)(内部通報制度)

横浜市におけるハラスメント防止政策は人事部でやっており、ハラスメントの相談窓口としては、内部の窓口、人事課から委託をしている外部の窓口、両者を統括する統括窓口の人事課と3種類を用意している。

つまり、私がどこかに相談をしても結局は相談受付後の対応を検討する実務上の責任者は私なので、何も進まない。仮に市長の言動をコンプライアンス違反事案として扱うと仮定しても、横浜市の不正防止内部通報制度は、あくまでも「横浜市職員の公正な職務の執行及び適正な行政運営に関する規則」に基づいたものなので、一般職である本市職員の法令遵守を目的としたもので、市長が関与した行為は対象にならない。

(5)(今回の行動を決意した理由)

市政の混乱によって部下や市職員全体に負担がかかるということから、受験を控える子供もいるなど家族への影響などを考えると簡単に判断することはできない状況だったが、以下のようなことが最後の一押しとなり、今回の一連の行動を実行する決意が固まった。

12月は毎年、横浜市いじめ防止啓発月間。その中で市庁舎でも、いじめ防止に関する動画を1階のアトリウムでずっと流し続けていた。同時期に、デジタルサイネージでは「ストップカスタマーハラスメント」も流していた。

帰宅する際にこれらを見て、市長がやってることはいじめやカスハラに近く、それを止めないのはいじめとかカスハラに加担してるのと同じではないかと感じた。いじめというのは、加害者本人への憤りだけでなく、周りの傍観者がみんな助けてくれない、先生も助けてくれないことがやはり1番辛い。

市長がこれまで行ってきた「人間のクズ」「ポンコツ」「デブ」「気持ち悪い。死ねよ」などの陰口は、学校で言われたら当然いじめになる。私は人事部長なのでそれを止める立場、助ける立場。ここは逃げてはいけないのではないかと思った。

いじめから学校、横浜の子供たちを守るのが市長の責任であり、職員をパワハラとかカスハラから守るのも市長の責任。そういった中で、その行為を市長が疑われるようなことをしているのを改めていただき、市職員が安心して市民の皆様のために働ける環境を確保していくことが、私の職責でもあると思い、今回このような行動に至った。

(6)(山中市長の問題行為の内容)

外務省の方が視察に来るということで私が市長室で事前報告をした際に、

「なんでそんな大切なことをもっと早く言わないんだ!」

と怒鳴られて、書類をバンと投げられた。正直びっくりする。多分気が弱い方だと市長室に入るのが怖くなってしまう。

市長室で、ある事案について対応状況を報告した際に、

「俺との会話を録音したら許さない、お前、録音とかしてねえだろうな、これだからな」

と言われ、指で拳銃を撃つポーズをされた。その時が初めてじゃなくて、市長室に1対1でいる時に3回ぐらい銃撃ポーズをされた。

勤務時間外に市長に呼ばれたことも多々あった。3連休中で私に対する労働法令違反の深夜休日を問わぬ対応を求める業務連絡もあった。市長から私に対して深夜休日を問わない連絡というものは常態化していた。

普通は一般の職員と特別職の市長等が携帯番号を交換することはない。公用携帯というのは基本的に支給されておらず、全部私物。人事部長に着任した際、重大な事件事故、例えば本市の管理してる施設もしくは職員が何か重大な不幸な事故に巻き込まれた時などに連絡ができるように私からお願いして市長の携帯の番号を教えていただき、携帯番号を伝えた。

あくまで緊急時の対応ということだったが、その後、市長から何も緊急性がない連絡が平日の夜間深夜、土日祝日を問わずに常態化した。

市長コメントで

「当該幹部職員自身から8月10日に申し出てきて双方のメールアドレスを使ってやり取りすることに私が応じました」

と、私から私用メールで連絡をすることを申し出たように言われたが、指示されてなければ私が市長の私用メールアドレスを知るわけがない。昨年夏の3連休中の8月9日7時3分に、3連休明けの朝に資料くださいというSMSでの指示が来た。つまりその3連休中に働けということだった。その翌10日の13時42分にも携帯から電話があって、今度は、

「昨日お願いした資料をメールで送ってくれ」

と。土曜日中に作業して準備しておいて連休明けに送ろうと、市長の公用メールアドレスに送るんですねと言ったら、

「市役所のアドレスはセキュリティが低いからダめだ。職員に見られるかもしれない、情報公開の対象になっちゃうじゃん」

ということで、市長の私用メールアドレスへの送信を指示された。

(7)(自民党の横山正元議長に対する暴言)

昨年2月5日、昨年度は国際局の担当部長だった。国際的な事業の一環ということで、大使たちの写真展を横浜で開催する際に我々が担当した。あくまでも開催の主体は高松宮妃殿下が名誉総裁を務めるステアリング・コミッティであり横浜市は主催者ではない。私と市長、当時の鈴木議長などが赤レンガ倉庫に妃殿下をお迎えし、開会セレモニーが終わった後しばし写真をご覧いただいてる間に、市長と秘書と3人で休憩の場所に行った後に会場に戻ったところ、そこに実行委員会のメンバーの1人の大使の方が招待された横山元議長がいた。市長が

「なんで来てんだ。あのデブ、二頭身か、気持ち悪い、死ねよ。あ、言っちゃった。あ、心の声」

と言った 。

あまりにも衝撃だったんで、私と随行で来ていた秘書は「さすがにないよね」という感じで目を見合わせた。私たちに言ったというより元議長の方を見て睨むような感じでと言った。すぐ近くに妃殿下も、横山元議長もいる。周りは大使の皆様、公使、参事官、書記官など外交官ばかりで、英語で喋っていても日本語ができる方もたくさんいる。そういう中で、小学生みたいな発言をされて、聞かれるんじゃないかとドキドキした。もしかしたら聞こえていたかもしれ ない。今でも恐ろしくて手が震える。

(8) (委員、前副市長、現副市長らについての暴言)

市長が議会での同意を得た上で任命をする行政委員会の委員、つまり自分が議会に同意を諮って、この人を任命したいということで任命をした方に対して、

「なんでそんなにこいつにアルバイト代を与えてんの」

というSMSメールが金曜日の夜9時前に入った。

前副市長について、「ポンコツ」「ダチョウ」を代名詞にして

「あのダチョウのマネジメントが悪いんだよ」

とか

「あいつポンコツだから」
「●●はバカだからこんなことしてんだよ」

と発言。現職の副市長とA局長 について「人間のクズ」と発言。

(9)(2024年途中からの変化と「人事部からのジャブ」)

噂としては 兵庫県庁でのパワハラに関する報道以降という風に言われているが、怒鳴ったりとか書類を投げたりは表立って見られなくなり、表面的には「有難う」ということも増えた。その裏では、(音源を出して再生)

「今までだったら俺が電話してふざけんなと言えたんだけど、今言えないじゃない。どうすればいいって、市長怒ってますよっていうことを、オレ飛ばされるかもしれないっていう恐怖を与える人事部からのジャブが与えられないか」

と言われた。その後は「粛清」という言葉も使われている。

久保田氏の会見発言についての評価

久保田氏は、現職人事部長として山中市長の言動に対して行動を起こした理由、決意した経緯、山中市長の問題の内容、週刊文春の報道後、山中氏が出したコメントについての反論などを詳細に述べています。

特に、現職人事部長としての今回の行動に至った経緯について、受験を控える子供もいるなど家族への影響も生じ得るのに、人事部長としての職責を果たすために今回の行動を決意した理由が、具体的なエピソードも含めてリアルに表現されています(上記(5))。

「いじめ」について、

「私は人事部長なのでそれを止める立場、助ける立場だということで、ここは逃げてはいけないのではないかと思った。」

と述べていることからしても、久保田氏は、「自分自身を被害者とするパワハラ」より、横浜市役所職員全体に対する「山中氏の人権軽視の姿勢」によって市職員全体が「いじめ、パワハラ被害」に遭っていることを問題にしていると考えられます。

絶対的権力を持つ市長との関係からすれば、市職員が個別に被害申告することなど到底できません。その被害申告を人事部長が直接行うことはできませんが、人事部長としての告発を、第三者調査に結び付けることができれば、その調査に対して市職員が山中市長からのパワハラ被害の実態をありのままに述べることを期待して、今回の行動に至ったと考えられます。

会見で、久保田氏が山中市長の発言を録音した音源を公開して、新たに明らかにしたのが、「人事部からのジャブ」の要請です(上記(9))。

2024年に兵庫県知事のパワハラが問題にされるようになってから、それまで、電話して「ふざけんな」と恫喝していたことに代わる手段として「人事部から間接的に人事上の冷遇をちらつかせることによる脅し」を使って山中市長の意向に従わせることを求めたというのです。これは、久保田氏が言うところの「市職員全体のパワハラ被害」の一つであり、まさに「市長の権限を用いた恐怖による支配」そのものです。

この点を、久保田氏が、週刊文春の記事には出さず、会見で音源まで示して強調したのは、「市職員が受けているパワハラ被害」に関する事実として特に重要ととらえているからでしょう。

後述するように、山中氏は、この久保田氏の指摘に対して、「市民目線の政策を進められていない職員にきちんと動いてもらうための 適材適所の人事配置を行うようにするため」などと弁解していますが、ここで、このような指示以前に、市職員に直接電話をかけて「ふざけんな」と恫喝していたことは認めているのであり、音源を公開して行った「人事部へのジャブの指示」は極めて大きな意味を持つものです。

山中氏の非公式会見での発言内容

久保田氏の会見の翌日の16日、山中市長は、前日の久保田氏の会見の内容を踏まえて、市政記者クラブの記者に対する非公式会見を開きました。

発言の要点は以下のとおりですが、その中で、「1対1の限定された空間での人事評価におけるやり取りについては、個別にどなたに対しての発言かを特定できる形での回答はできない性質のものであることをご理解いただきたい。」との発言を繰り返しました。

  • (a)事実関係として、私が承知してない、または、認識してない発言が一方的に公表されたことは、大変残念だし、すでに日曜のコメントで発出している通り。

  • (b)市役所は市民のためにある。活動の原資もそして人件費も全て税金で賄われている。市民目線の徹底は不可欠なので、その視点を欠いた職員に関する批判を行うことはある。 市の幹部が政策を立案するにあたってこれまで通りの内容を、環境が変化しているにも関わらず前例踏襲しようとする、あるいは市民の税金で事業が成り立っているとの認識が欠けているのではないか、事業の費用対効果が十分に検証されていない場合には、市民から負託を受けた市長の立場として指摘を行わざるを得ない。

  • 私は21年に初当選し、就任後すぐにカジノを含むIR誘致の撤回を行った。当時 IRの推進をするためにずっと働いてきた職員たちは、私が当選したことによって市の方向性が変わり、戸惑いを覚えたろうと思う。

  • 私が子育てしたい町を市の方針として打ち出したことでその掲げる方向に一生懸命になって働き、変化へ対応してくれた職員がいる一方で、こうした変化に十分に向き合えない職員がいる。そこで私は、そういった市民目線という点で指摘をしなければならない職員について人事部に考えて欲しいと思って、信頼を置いた人事幹部職員に対して発言した。そのことで私の思いが出すぎてしまった表現があると思う。当該幹部職員に心理的な負担をかけてしまったことについては、当該幹部職員に対して率直にお詫びしたいと思う。発言が強い点につい発言の強さなど見直すべき点があるので、専門家による私の言動にかかる見直しの指摘を受ける機会など設けてまいりたいと思う。

  • (c)私自身に関する話なので、私自身が自分の調査をする、しないの判断を行うと恣意的な判断になる懸念があるので慎重であるべきと考える。また一方でこれだけ社会的に関心があることになっているので、調査をやらないという判断をすることの適切性についても慎重に考えなければいけないと思う。そうであるからこそ、今回報道機関の皆様のご質問に対して真摯に対応をすることで理解を得たいと考えている。

  • 今後市において、本件の調査を行うかどうかや枠組みなどについては検討していくと思うが、仮に調査を行うことになった場合は、私としても誠実に対応しなければならない。

  • (d)昨日の会見でも出されていた音声の件について、市民目線の政策を進められていない職員にきちんと動いてもらうための 適材適所の人事配置をすることは人事部の仕事そのものなので、時代に即したやり方で考えて欲しいと思っていた。そういったことを私が思っても、今のご時世、私が言うべきでもなく、直接言うと意識させてしまうので、私が前に出る形での発言を避けたいという意図で発言した。当該幹部職員との信頼関係の中で1対1の限定された場なので、第三者の人事評価に関してその趣旨の発言をした。直接評価対象者に対して言ったものではないが、その発言を聞いた人事部幹部にとって辛いものであったことに対し指摘を真摯に受け止めなければならないと思う。

  • (e)「バカ、ポンコツ」などを発言したという点について、一般に市民目線でおかしいと思ったことがあれば指摘する。例えば緊急対応の責任者になっているのに電話に何時間も出ない、しかも1回だけではなくそういったことが繰り返されることには指摘を行う。また前例踏襲で判断をして政策の立案遂行にあたって市民の税金で事業が賄われているという感覚に乏しいなど、職位に応じた能力が発揮されてない場合に人事評価の中で指摘することはある。

  • ただ当該幹部職員との信頼関係の中で1 対1のクローズドな場で人事評価としてのもので、その中でのマイナス面 のコメントとして、率直に言ってそのような発言はあった。自分が至らない部分があったと思う。当該言動については評価対象者に直接伝えたものではないが、その発言を聞いた 幹部職員にとって辛いものであったことは真摯に受け止め、今後言動に 注意する。

  • 「クズ」「おばさん」「なんで市長がそこまで教えなきゃいけないんだよ」「スペックが低い、頭が悪い」などの発言も、1対1の人事評価に関するやり取りの中で発したものである。

  • (f)「TICADを誘致できなければ切腹だぞ」と発言した点について、もし誘致をできなければ私自身が責任を取らなければならない。その覚悟を表現したものであり、他者に向けて反発した言葉ではない。ただ誤解を招く表現を使ったことについては今後注意する。職員を銃で打つ仕草は他人に対しては行わない。

  • (g)容姿や外見に関する誹謗中傷は行っていない(幹事社の質問に答えて、横山元議長に関する「デブ」「二頭身」発言も否定)。また、机を叩いたり書類を投げつけたりしたとの指摘については、投げつけるというと相手の方にバンって投げたっていうような風にも受け取られかねないが、そのようなことはない。ただ、書類を見て机の上にポンと置くようなことは ある。

  • (h)当該幹部職員を出禁にしたのかという点については、これは属人的に誰かと会わないということはない。当初の報道では、当該幹部職員が現在も出入りできないような表現になっていたが、昨日ご本人が会見で話されていた通り、出入りできなかったとされる期間は営業日で3日、人事以外の公務も市役所内外で多数あるので、その3日間会う機会が取れなかったのみで出入りができなかったという事実は ない。

  • 市長室における政策論議にあたっては、職員の時間的拘束を伴うものなので、職員の人件費、そして職員の時間も使うので、そういったコストを踏まえてスピード感を持って対応する必要がある。1つの会議に20人ぐらいいることが常態化していた。話すのは1名、2名。その他の人たちは万が一に備えてということで会議に参加をしていた。税金で成り立っている人件費なので、人事部長と共に、あるいは副市長と共に色々改善を進めてきている。

山中氏の発言全体の趣旨

山中氏は、(a)で、久保田氏が自分の言動について認識の確認なく一方的に流布していることへの不快感を表明し、(b)では、日頃から市職員に対して「市民目線という点での指摘」を行っていること、その観点から人事評価について発言したものであると述べて自らの姿勢を正当化し、(d)では、久保田氏が音源を公開して指摘した「人事部からのジャブ」について同様の理由で正当化し、(e)で「バカ、ポンコツ」「クズ」「おばさん」「スペックが低い、頭が悪い」などの発言を久保田氏に対して行ったことは認めた上、これらについて「その発言を聞いた人事部幹部にとって辛いものであったこと」については謝罪しています。

山中氏は、久保田氏が指摘した自分の発言のうち、「市民目線という点での指摘」の観点から人事部長に、対象職員の評価に関する発言として正当化できる範囲では認めた上で、その発言を聞いた人事部長が辛い思いをしたのであれば、その点のみ謝罪する一方、そのような理由で正当化できない容姿についての誹謗中傷は否定しています。

要するに、市民目線の市政実現のための人事評価をするために、人事部長との1対1の会話の中で厳しい言い方をしたということで自己の言動をすべて正当化するものであり、「謝罪」というのも、人事部長に対してのみ謝罪する、ということのようです。

重要なのは、第三者調査についての(c)です。「自分の調査をする、しないの判断を行いますと恣意的な判断になる懸念がある」と言った上で、「報道機関の質問に対する真摯な対応」をすることで、「調査をやらないという判断をすることの適切性」について「理解」を求めたいと言っています。

この非公式会見で、冒頭30分の説明の後、1時間にわたって記者の質問に答えています。自分では調査の実施不実施に直接口は出さないが、報道機関の理解によって調査をやらない判断になるようにしたいという思いを述べているのです。

山中氏の主張の不合理性

山中氏は、(b)で「市民目線の視点を欠いた職員」「環境が変化しているにも関わらず前例踏襲しようとする職員」「市民の税金で事業が成り立っているとの認識が欠けている職員」「事業の費用対効果が十分に検証されていない場合」などについて、市長として批判、指摘をしたということで人事部長に対する言動を正当化しようとしています。山中氏の主張のとおりであれば、市長としての方針に基づく正当な人事評価を指示する上で、その言い方に問題があっただけということになります。

要するに、山中氏が言っているのは、「言い方」の問題以外全く非がないということです。「容姿に関する誹謗中傷」「相手に向けての銃撃のポーズ」「横山元議長への暴言」など正当化する余地のない行為は、久保田氏の証言を完全に否定し、認めている発言についても、目的や趣旨が久保田氏が会見で主張したこととは全く異なるというのです。

どちらが言っていることが正しいのでしょうか。

久保田氏、山中氏の発言の信用性

以下の3点から、久保田氏の発言内容及び主張は信用性が高く、山中氏の主張には合理性、信用性が全くないことは明らかです。

第一に、仮に、山中氏が言うとおりだとすれば、「市民目線の市政」など市長が実現しようとしている政策を理解しない「不良職員」「不良幹部」についてマイナス評価をする際の言葉使いの問題に過ぎなかったのに、久保田氏は、現職人事部長でありながら、それを週刊文春への告発という手段に訴えて外部に明らかにしようとしたことになります。

しかし、久保田氏が会見で述べていること、特に、(5)で述べているように、自分や家族への不利益が生じても、「いじめ」のような市長の行為から市職員を守るべき職責を果たすべきと思ったことを具体的なエピソードも交えて語っていることに照らせば、そのようなことは凡そあり得ないことは明らかでしょう。

第二に、山中氏は、人事部長との「人事評価」に関する会話の中で、マイナス評価に関して発言したと主張しますが、久保田氏の説明によれば、「人間のクズ」「ポンコツ」「デブ」「気持ち悪い」などと言われた対象人物は、副市長、局長などです。特に「ダチョウ」「ポンコツ」と言われたのは、市長に次ぐ地位の特別職である副市長であり、市長と人事部長との間で人事評価する対象ではありません。そのような市の幹部職員についての侮蔑的発言は、単なる好き嫌いの問題としか考えられません。自らの「暴言」を、対象者側の姿勢や仕事ぶりの問題であるかのように説明すること自体が、山中氏の発言の信用性を否定するものです。

第三に、山中氏が週刊文春報道の直後のコメントで久保田氏の主張に反論している点について、会見で久保田氏は合理的な反論をしており(「出入り禁止」については(3)、私用メールアドレスでの連絡の経緯については(6))、これらについて、山中氏は非公式会見で何ら反論できていません。

現時点で両者の主張が1対1で対立しているのが、「銃撃ポーズ」「書類を投げつけるような仕草」「横山元議長に関する発言」ですが、このうち、久保田氏が鮮明に記憶している

「なんで来てんだ。あのデブ、二頭身か、気持ち悪い、死ねよ。あ、言っちゃった。あ、心の声」

の中には、過去に山中氏のパワハラが問題になった際の発言と同様の特徴があります。

久保田氏によると、山中氏は「死ねよ」などと「明らかな暴言」を口にした後に、「心の声」などと取り繕う言い方をしたことになりますが、2021年市長選の際に横浜市大時代の山中氏のパワハラが問題となった際にもこれと同様の言い方がありました。

ブログ等で引用しているパワハラ音声の提供者は、市大の取引先の企業の役員でした。この役員は、業務に関係のない不当な要求を繰り返していた山中氏の電話に出ないようにしていましたが、あまりにしつこく電話がかかってくるので、仕方なく電話に出たところ、山中氏は、

「電話に出ろ!殺すぞ!」

と言った後、

「殺すって言っても、社会的にな!」

「死ね」「殺す」などと、それ自体「一発アウト」となるような言葉を発した後に、それを薄めるような言い方をするのが、山中氏のパワハラ的発言の特徴です。久保田氏が記憶している元議長に関する暴言は、その特徴と見事に一致しているのです。

この横山元議長への発言は、もう一人、山中氏の秘書も聞いていて、久保田氏と「目を見合わせた」というのですから、第三者調査が行われ、秘書にヒアリングすれば、発言の事実が確認できるはずです。

今後横浜市がとるべき対応

 久保田氏は、山中氏の非公式会見での発言を受けて、以下のようにコメントしています。

「言葉の問題じゃない。人を大切にすることだよということが分かっていない。」
「明確な証拠がなさそうものについては認めない方向というのが少し感じられる」

久保田氏は、上記発言(1)で、「横浜市長としてふさわしい人権感覚を持って、法令を遵守した、そして横浜市民や市会議員、我々市職員から尊敬されるような言動に改めていただくこと」を求めていますが、山中氏の非公式会見でのコメントの内容は、それとは全く真逆のものです。

久保田氏が、(2)で述べているとおり、「横浜市として中立性や専門性がしっかり担保された形で調査が実施され、その結果に基づいて、市長の言動が適正化されるという必要な対応が進んでいくこと」をめざすしかないのではないでしょうか。

それに関して重要な論点になるのが、今回の山中氏のような「市長のパワハラ問題」の再発防止のための市長を含む「特別職のコンプライアンス問題」についての規範、ルールの制定です。

上記発言(4)で、久保田氏は、人事部長自らの公益通報を外部に対して行った理由について、「横浜市の不正防止内部通報制度は一般職である本市職員の法令遵守を目的としたもので、市長が関与した行為は対象にならないこと」を挙げています。

横浜市特別コンプライアンス条例の提案

上記の点について、私は、かねてから問題意識を持っており、昨年、市長選に向けて横浜市の問題を考えた際にも、市長によるパワハラが深刻化していると言われている中で、その効果的な対策として、特別職を対象とする通報、調査体制の構築のための条例の制定を検討していました。

昨年7月、悪性リンパ腫で緊急入院した直後、当事務所の佐藤督調査室長が、私の指示にしたがって急遽完成させてくれた「横浜市特別コンプライアンス条例案」を、設立したばかりだった「日本に法と正義を取り戻す会」のウェブサイトに掲載し、ニュースレター【「横浜市特別コンプライアンス条例案」の公表】で公表しました。

同条例案は、強い権限を有する「コンプライアンス特別顧問」を選任し、そのもとに「特別コンプライアンス室」を配置し、市長や市議会議員を含む「特別職」によるパワハラ・セクハラ、市議会議員による不当要求などの「特定コンプライアンス事象」についての公益通報の処理に関し、法にのっとった万全の体制を構築することを内容とするものです。

今回の久保田人事部長の公益通報も、上記の条例が制定されていれば、特別コンプライアンス顧問中心の調査体制によって適切に対応することができたはずです。

この機会に、上記条例案を是非参考にしていただき、市議会において効果的な条例の制定が議論されることを期待したいと思います。

山中氏パワハラ問題等のこれまでの経過

山中氏の非公式会見の翌日の17日、イギリスBBCが、【Japanese mayor apologises after calling staff 'human scum'】(日本の市長が職員を「人間のクズ」と呼んだ後、謝罪)と題する記事で、横浜市の山中市長の問題を報じました。

この問題は、横浜市ローカルの問題から、全国レベルに、そして国際的にも注目されつつあります。

世の中の多くの人には、1期目を無事に務め、2期目に入った現職市長を、人事部長が突然告発した「特異事象」のように見えているかもしれませんが、山中氏をめぐっては、4年半前からさまざまな問題が指摘されてきた経緯があります。

2021年市長選の時点から、山中氏の「市長としての適格性」について、多くの問題が指摘されていました。2017年からコンプライアンス顧問として横浜市に関わってきた私の下に、山中氏の専門性、パワハラ体質、経歴詐称などの様々な問題についての情報提供がありました。特に、山中氏周辺の横浜市大関係者からは

「絶対に横浜市長にしてはならない人物である」

との真剣な訴えがありました。

山中氏のパワハラ体質の問題については、

  • (1)横浜市大における部下の教職員に対するパワハラ問題

  • (2)副学長を務めていた横浜市大の取引先に対する「経営介入」の不当要求・脅迫問題

  • (3)山中氏の市長選出馬報道に際して発出された「山中教授とは連絡がとれない」「大学は市長選には関わらない」との学内文書について、同大学学長・理事長に訂正・謝罪を求め自己を称賛する新たな文書を発出するよう強要した問題

などがありました。

それ以外に、経歴詐称の問題もありました。多くの理学系研究者の学歴は、学部卒業後修士課程に2年、博士課程に3年在籍し、博士号を取得します。しかし、山中氏の学歴は、政治経済学部を(1年留年して)5年で卒業した後、学士入学で理工学部数学科に2年間在籍し、その後理工学大学院の修士課程を修了したというものでした。九州大学医学部の助手となった時点では博士号は取得しておらず、その後、米国NIH留学中の2003年10月に、早稲田大学で「博士論文」の認定を受け博士号を取得しました。つまり、大学院博士課程で取得する「課程博士」ではなく、「論文博士」です。

ところが、山中氏は、学部卒業年次を1年遡らせて「1995年早稲田政経学部卒」とし、「1998年数学科卒」を除外し、「2000年 大学院修了」と表示して「修士課程」を除外することで、「学部卒業後、大学院に5年在籍」という、一般的な理学系研究者と同じ外形としていました。

それに加え、博士号「取得後」に、実際には留学生扱いの研究員だったのに、正式な連邦職員として採用される「NIHリサーチフェロー」として勤務していたように詐称することで、「大学院博士課程を修了し、博士号を取得して、米国NIHに正式職員として採用された」という輝かしい経歴を装ってきました。

これらの問題の指摘を中心に、山中氏の落選運動に全力で取り組みました。上記(1)の問題を週刊誌フラッシュが取り上げ、(2)については、前記のとおり、私がパワハラ音声を公開するなどしましたが、それらの問題をことごとく無視してきたのが、横浜の一般メディアでした。

医師ではなく、臨床研究等の統計処理の専門家です。山中氏を擁立した江田憲司氏を中心とする立憲民主党が、コロナ医療あるいは感染症の専門家でもない山中氏を「コロナの専門家」とアピールする選挙戦略で臨み、新型コロナ感染急拡大による自民党・菅政権への「逆風」が、そのまま山中氏への「追い風」につながり、山中氏は圧勝しました。

上記(3)の問題については、山中氏が市長に就任した後に、私が市議会に請願を行い、今回、山中氏の暴言の対象となった横山元議長等の自民党や国民民主党の市議などが、山中市長追及を行っていました。

しかし、2期目の市長選では、自民党横浜市連の佐藤茂市議が多くの自民党市議の反対を押し切って強引に山中氏を支持し、山中氏の問題はほとんど顕在化することなく、圧勝で再選を果たしました。

2021年市長選の時点から指摘してきた山中氏の問題は、ウソ恫喝でした。人事部長としての職責を果たすべく、自らの利害を顧みることなく久保田氏が告発したのが様々な手段による山中氏の市職員に対する恫喝であり、その久保田氏の主張に対して、山中氏は、「謝罪」を口にしつつ、久保田氏の主張を正面から受け止めず、「市民目線を欠いた市職員への批判」などと自らの正当性を主張しています。それは、過去にも繰り返してきた巧妙なウソそのものです。その非公式会見でのウソを、そのまま垂れ流しているのが横浜市政を担当するメディアです。

久保田氏の今回の真摯な訴えを受けて、早急に第三者委員会を設置し、上記のような過去の経過も踏まえ、「山中市長のパワハラ問題」について調査を行うことが必要です。

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