「横浜市特別コンプライアンス条例案」の公表

「日本に法と正義を取り戻す会」の活動として、郷原が入院前に調査室長と共に、なんとか完成させたものです。是非役立てていただきたいと思います。
郷原信郎 2025.07.18
誰でも

『特別コンプライアンス条例案』について

兵庫県知事のパワーハラスメント疑惑に端を発する県政の混乱は、いまだ解決の糸口が見られません。その原因は、ひとえに自治体首長に対する明確なコンプライアンス規定がないからです。

二元代表制による自治体首長は、非常に強い権限を有しています。しかし、その権限行使についての“縛り”が日本にはほとんどありません。それに起因する課題が、兵庫県に限らず、さまざまな自治体で表面化しています。

横浜も例外ではありません。再選に向けて出馬予定の山中竹春市長も当初から問題にされていたパワハラ疑惑が就任後、市役所内で現実化し、市長としての適格性に重大な疑問が生じています。

横浜市はいうまでもなく日本最大の政令指定都市です。この横浜で全国の自治体に先駆け、当会が提唱する「特別コンプライアンス条例」を制定することは非常に大きな意義があると考えます。

そこで、「日本に法と正義を取り戻す会」では、条例試案を作成・公開し、市長選の全立候補者に対して、同条例案の趣旨を公約に盛り込むことについての意向確認を行うことにしました。

各候補者のスタンスは、逐次、「日本に法と正義を取り戻す会」Webサイト上で公開していきます。

<横浜にコンプライアンスが必要なもうひとつの重大な理由>

「日本に法と正義を取り戻す会」では、さる6月14日に《横浜に法と正義を取り戻す会》と題して講演会を行いました。

多くの自民党市議が山中市長再選に消極的である中、自民党横浜市連会長の佐藤茂市議が山中氏を強く支持し、新たな候補者擁立を牽制しているとされていることなどから、佐藤氏が山中氏を強く支持する背景事情に関して行った調査を公表することが目的のひとつでした。

佐藤氏の政治資金収支報告書によれば、佐藤氏の寄附「収入」は市議の中で突出して多い一方で、「支出」は他の議員と比較しても極めて僅少で、佐藤氏の政治資金の収支は極めて特異なものでした。

そのことから、当会で、政治資金収支報告書で公表されている佐藤氏の政治資金の収支と寄附企業の実態、横浜市の行政との関連性等について独自の調査を行ったところ、佐藤氏が代表を務める政党支部には、直近の年で、総額でおよそ9000万円の寄附収入があり、その内訳は、企業団体からの寄附が総額7800万円、個人からの寄附が総額1200万円、2014年から2023年までの直近10年間で見ると、寄附総額は6億3千万円を超え、そのうち企業や団体からの寄附が総額5億円以上に上っています。

一方、同支部の支出額のほとんどは、佐藤氏が代表となっている4つの政治団体および佐藤氏個人への献金に支出されており、その資金の半分弱は、収支報告書上「翌年度への繰越」として各団体に残っていることになっており、残り半分以上の資金のほとんどは、「組織対策費」など、明細のない不透明な形で支出されていることが明らかになりました。

佐藤氏が自民党の横浜市議会議員の中で極めて有力な政治家であり、市長選挙等における影響力も極めて強い立場であることを考えれば、上記のような佐藤氏をめぐる政治資金の収支について、いかなる事業実態の企業から、何故にこのように多額の寄附が行われているのか、その背景に、寄附企業と横浜市の行政との関係性、それに対する佐藤氏の影響力があるのか、などの点は、近く市長選挙が行われる横浜市政の現状を市民が知る上でも看過できない重要な事実だと考えます。

そこで、佐藤氏の政治資金に関する調査結果をとりまとめたレポートを、当会Webサイトに公開し、冒頭の講演会を開催するとともに、その内容をYouTubeで公開しました。

こうした当会の活動にも関わらず、自民党横浜市連では、その後、山中支持を決定し、一方で佐藤氏はこのような政治資金をめぐる問題について、一切説明する姿勢を示していません。

横浜市長選に向けての活動の第2弾として当会が提案する「特別コンプライアンス条例案」は、これまで市職員を主たる対象としてきた「コンプライアンス条例」とは別に、市長や市議会議員を含む「特別職」を対象とするものです。

同条例案の内容は、強い権限を有する「コンプライアンス特別顧問」を選任し、そのもとに「特別コンプライアンス室」を配置し、特別職によるパワハラ・セクハラ、市議会議員による不当要求などの「特定コンプライアンス事象」についての公益通報の処理に関し、法にのっとった万全の体制を構築するものです。

かかる条例案の実現を公約に盛り込む候補者であれば(現職の山中氏も含め)、その実現により、パワハラや不当要求等の懸念は相当程度払拭されます。兵庫県のような混乱は、この横浜市では絶対に起こらないことになるでしょう。

    横浜市特別コンプライアンス条例案

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