高橋治之氏逮捕、「みなし公務員」五輪組織委理事の受託収賄には微妙な問題も
とうとうオリンピック利権の構造は解明されるのか?そこにはいくつかのハードルが。
郷原信郎
2022.08.19
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公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下、「東京五輪組織委員会」)の高橋治之元理事が大会スポンサーの紳士服大手AOKIホールディングス(以下、「AOKIHD」)側からコンサル料名目で多額の資金提供を受けた件について、東京地検特捜部は、8月17日、受託収賄容疑で高橋氏・AOKIHD前会長の青木拡憲氏らを贈賄で逮捕しました。
通常、この種の事件では、被疑者の自宅を含む関係個所の捜索が行われると同時に、被疑者が任意同行を求められ、その日のうちに逮捕、ということになる場合が多いのに、今回の事件については、捜索等の強制捜査着手から22日経過して、ようやく逮捕に至りました。検察が、この事件の捜査を、かなり慎重に進めてきたからではないかと思います。この事件の問題は、高橋氏が、五輪組織委の理事として、どのような「権限」を持っていたのか、AOKIHDから、高橋氏にどのような「依頼」があったのか、その依頼が高橋氏の東京五輪組織委の理事としての権限に関連するものと言えるのか、という点です。
そこで、収賄罪の基本的な事項をふまえて、この事件を考えてみたいと思います。