岸田首相・英女王国葬参列「検討」と「見送り」に表れた“官邸機能の崩壊”
昨日(9月14日)、岸田首相がイギリスのエリザベス女王の国葬への参列を見送ったと報じられたことに関連して、昨日夕方の神奈川新聞のネット記事で「招待枠もないのに先走り、岸田首相がイギリス女王国葬参列見送り、準備の関係省庁から不満」という記事が出ていました。
9月8日に、女王逝去の報を受け、岸田首相が、「英国女王国葬」への参列を検討するしていることが、10日に報じられました。そして、女王の国葬には天皇皇后両陛下が参列され、岸田首相は参列を見送ることが、14日に決定されたとのことです。
そもそもエリザベス女王が逝去され、国葬が行われると報じられた時点で、その国葬に岸田首相が参列することになる可能性は極めて低かったと思います。
というのは、在位70年という歴史上の人物ともいえるエリザベス女王の国葬ですから、世界各国から元首、国の首脳が参列することになるわけですから、日本に届く招待状はせいぜい二人ということになるのは十分に予想できたことだと思います。
しかも、天皇陛下は若い頃イギリスに留学されていて、その時以来、イギリス王室とは親交が深い。大変お世話になったエリザベス女王のご逝去ということであれば、天皇陛下御自身が参列されるのは当然のことだと思います。
招待状が二人分であれば、天皇皇后両陛下ということになるわけで、それを差し置いて岸田首相が参列するということは、もともとあり得ないことだったのではないかと思います。
そういう意味では、そもそも岸田首相が参列の意向を表明すること自体が間違いだったと思います。神奈川新聞の記事によると、10日付のイギリス王室からの招待状が、国家元首宛二人分で届いたということですが、それは当初から当然予想できたことだったと思います。
この招待状は10日付ですから、当然その日か遅くとも翌日くらいには、招待の人数は二人ということを外務省は把握していたはずです。ところが、岸田首相は、その後、14日まで国葬への参列見送りを決定しませんでした。その間も、関係省庁の官僚の人達は、岸田首相の参列の準備を継続させられたというのです。
なぜその「国家元首2人」宛ての招待状が届くことがわかったという段階で、すぐに参列を見送るということを決めなかったのか、いったいその間、何をやっていたのでしょうか。
なんとか招待枠を3人とか4人に増やしてもらおうとイギリス王室に外務省の方から掛け合っていたとしたら、みっともないことこの上ない、大変失礼な話です。
また、もし、天皇皇后両陛下が参列を見送る可能性を模索していたのだとすると、これまた両陛下に対して大変失礼な話だと思うのです。
今回のことから、岸田首相は、もともと外務大臣の在任期間が長かったこともあって、「外交上の手腕」がセールスポイントだとアピールしていますが、本当に外交のセンスがあるのか?という疑問がわきます。
今回、「自分がイギリス女王の国葬に参列する」という、フィジビリティーの低い、常識外れのことを言い出した時点で、岸田首相の外交的センスの無さが致命的だということがわかります。しかも、「招待状が2枚」ということで、岸田首相が参列できないことが確定しているのにもかかわらず、参列見送りを公表せず、貴重な国のリソースである中央省庁の官僚たちに無駄な労力をかけさせたわけです。
行政の長として失格だということだと思います。
もちろん、このような「岸田首相」の動きというのは、個人ではなく、官邸としての動きです。岸田首相が、最初から可能性もないのに「参列検討」と言い出したとしても、それを改めさせる官邸のスタッフがいなければいけないはずです。まさに官邸が全く機能していない、ということだと思います。
今回の安倍元首相銃撃事件以降、岸田首相が決断したこと、実行したことが、すべて裏目に出た、失敗だったということは、早い段階から指摘してきました。
安倍元首相が殺害されて数日後に「安倍元首相の国葬儀を行う」と言い出した大失敗、それに加えて9月に本来予定していたはずの「内閣改造を統一教会の問題の関係で8月上旬に前倒し」したこと、これも大失敗だったということを指摘してきましたが、そういうことで自ら招いた危機的状況で、英国王の逝去という外交的な事象が発生したのに対して、重ねてみっともないことをやり、大恥をかいています。
こういう内閣は早くなんとかしないと、国民にとって由々しき事態になりかねないと思います。
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