内閣府設置法「内部文書」についての、読売新聞「印象操作」と産経新聞”誤報”
文書にない文言を記載しています。これは完全に「誤報」では?
郷原信郎
2022.09.24
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7月22日、参議院選挙の応援演説中に銃撃され亡くなった安倍元総理大臣の「国葬儀」を行うことが閣議決定されてから、2か月が経過し、9月27日の開催当日が迫っています。
この「国葬儀」をめぐる議論の中で、閉会中審査などで、政府と野党側との対立点の一つとなっていたのが、法的根拠の問題です。それに関して、9月8日の閉会中審査の前後に、読売新聞《「国の儀式」に国葬想定 内閣府設置法 法解釈 2000年文書に明記》(9.6)と産経《国葬「国の儀式」規定》(9.13、ネット版は9.12)という2つの記事で、内閣府の「内部文書」に基づき、「所掌事務」を規定する内閣府設置法が「国葬儀」の法的根拠であるかのように述べるミスリーディングな報道が行われました。特に産経記事では、根幹部分の引用に対応する「内部文書」の記載がないことが分かりました。
このまま安倍元首相の国葬儀が実施された場合も、10月上旬に召集される臨時国会での大きな論争点になることは必至です。
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続きは、6449文字あります。
- 「国葬の法的根拠」についての岸田首相の説明と「政府見解」
- 「国の儀式」と「国葬儀」との関係
- 内部文書が「閣議決定での国葬儀の実施」を根拠づけた?
- 「閣議決定による『国の儀式』の法的根拠となるものではない」
- 内部文書の内容と異なる産経記事は、訂正ないし取消を
- 行政権の行使についての国会に対する責任を自覚せよ
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