自分史・長い物に巻かれない生き方⑰

埼玉土曜会談合事件の刑事告発に立ちはだかった検察
郷原信郎 2023.04.05
サポートメンバー限定

1990年4月に公取委に出向した私の最大の仕事は、独禁法の刑事事件の告発に関連するものでした。前号で述べたように、検察は、刑事処罰について、従来からの考え方を基本的に変えず、告発して違反者の処罰を求める立場の公取委の方が、検察の考え方に合わせた物の考え方をして、「検察が食べられる料理」にして来ない限り、告発を受け入れようとはしませんでした。そういう検察の姿勢が、公取委の独禁法違反事件の刑事告発の動きの前に立ちはだかりました。

公取委側は、行政処分のための調査を行った結果、告発の基準に該当すると判断した場合には、公取委の判断で告発を行えば良い、行政処分の延長上で告発を行って、その後、その「刑事事件」をどう捜査して、どう処分するかは検察に任せればよいという考え方でした。 

一方、検察の側は、告発して違反者の処罰を求めるのであれば、公取委の方が検察の考え方に合わせ、「刑事事件の規格に合うような事件」として証拠をそろえて事前協議に持って来るべきだという考え方でした。両者の間には、大きな開きがありました。

この記事はサポートメンバー限定です

続きは、10648文字あります。

下記からメールアドレスを入力し、サポートメンバー登録することで読むことができます

登録する

すでに登録された方はこちら

誰でも
今週のYouTube「令和の政治動乱」「自維連立協議の舞台裏」
誰でも
「党人事空白」で連立協議は困難~多党化への不適応が招いた“自民党の危機...
誰でも
「公明連立離脱」で“高市新政権は挫折、内閣総辞職の理由は消滅、石破首相...
誰でも
今週のYouTube「石破降ろしの結末」「エジプト労働者問題」
誰でも
公明党が“連立離脱の刃”で求める「企業団体献金の受け皿」適正化と「横浜...
誰でも
今週のYouTube「高市氏だけはダメ!」「小池都知事とエジプトの深い...
誰でも
今週のYouTube「斎藤知事事件3連続記事」
誰でも
斎藤元彦氏公選法違反事件、代理人説明の不合理性と71万5000円支払い...