今回の斎藤元彦兵庫県知事の告発について
今回の私の斎藤知事公選法違反問題への取組みが、これまでの「権力者」との戦いと性格が異なる面があるため、「権力者との戦い」を支持してくれた方々にとって、ややわかりにくいかもしれません。
私は、斎藤知事個人に対して、もともと、批判する立場でも反感を持つ立場でもありません。リハックの中でも最初に述べているように、昨年9月以降、「オールドメディア」を中心とした斎藤知事に対するパワハラなどの批判に対して違和感を覚えていたので、斎藤知事問題については一切発言していませんでした。
その批判の中で失職した斎藤氏が「大逆転勝利」を果たし、再び県知事の職に就き、「知事」という大統領に匹敵する強大な権力を再び握ることになったわけです。それだけに、知事選挙のプロセスに公選法違反の問題があるとの指摘があれば、追及や批判に対して真摯に向き合い、十分な説明責任を果たす必要があります。
ところが、斎藤知事は、自分自身は説明をほとんど行わず、代理人弁護士に丸投げしました。その代理人弁護士の説明は、全く不合理極まりないものでしたし、削除前のnote投稿を見ていない、見積書も提示しないなど、凡そ、公選法違反の疑惑に対する説明になっていませんでした。
それに対して、全くろくな追及ができなかったのが記者クラブでした。「オールドメディア」は、為す術なく見過ごしてしまいそうな状況でした。
再び権力を握ることになった斎藤氏に対して、全く「メディアの監視」が働かない構図が明らかになったのです。
そのような状況に危機感を覚え、「刑事訴訟法上の告発」によって、公選法違反の嫌疑を具体的に指摘し、検察・警察に所要の捜査を求めた、というのが今回の郷原・上脇告発の理由です。
権力者の権力が完成してしまってからでは、それに対抗することが容易ではないことは、小池百合子氏の問題等からも明らかです。それは、「オールドメディア」が、一旦完成してしまった権力に対してあまりに無力である、という現実があります。
今回、私自身は、もともと斎藤元彦という人物に対して、何ら個人的な感情はないし、支持も批判もしません。しかし、県知事という権力を握るプロセスに重大な疑義があり、それに対してマスコミやジャーナリズムが全く役割を果たせていない、という構図に対しては、放置することはできない。それは、今後、公職選挙を通して権力者が生まれていくすべての場面に共通する問題です。
そういう意味で、私は、今回の告発は、日本の民主主義にとっても極めて重要な問題提起だと考えています。
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